ヌメロなみなさまごきげんよう。気まぐれな冬も終わりに近づいて、最高気温がいい感じに上がりつつある今日この頃。寒いイメージの2月からなんだか心華やぐ印象の3月になると、冬の間に用意した春物のお洋服の出番がそろそろやってきそうで本当にワクワクします。あのドレスにはこの靴か、あのニットにはあのハットなのか、あのチュールは2枚重ねてしまうのか、とかあれこれ考えていると時間があっという間に過ぎて行ったりして、と言うよりも実は毎シーズン考えるだけ考えて考えすぎてる間に季節がすぐに変わっていくから、この春だけはそれをしないようにしなくては。日々の天気と気温のチェックとともに確実に春物を着ていかないと、あっちゅう間に夏がきてしまってまた嘆かわしい状況になるからね。気をつけます。

さて、今回のテーマは「Romantic」。ロマンティックと言っても、いろんな捉え方があるから、一概に「ロマンティック=コレ」という風にはいかないけれど、人として生まれたからには「ロマンティックなこと」が嫌いな人はいないはず。にしてもロマンティックっていう言葉自体はよく耳にするし口にもするけど、ロマンティックって一体何なんだろう。辞書によれば「現実を離れ、情緒的で甘美なさま。また、そのような事柄を好むさま。空想的。」とあります。

そもそも大人の現実はいつだって優しくない。むしろ常に厳しいし、立ち向かわないといけない問題も次々に出てくる。やりたい事がやらなきゃいけない事に阻まれては歯軋りするような、気を張ってないと途端に白目をむきそうな日々が続く中で現実からの逃避を計りたくなるのはよくあること。いつもの日常のそこかしこで、このままどこか遠くに行ってしまえたら．．．なんて考えてみたり。でも考えこそすれ、いい大人な私達は決して無責任な逃避行を実行することもなくきちんと働いたり自分のすべき事をきちんとこなしていくのです。だって大人なんだもの、そんな無鉄砲になんてなりたくてもなれるはずもなく。

とは言え大人になってもあるひとつの現象に陥ると、大人としての責務を果たす事が危ぶまれるほどになってしまうことが。そしてその現象とは何かと言うとそれは「ロマンス」。何度恋に落ちて何度恋に破れてもロマンスはまた訪れるし、どんな人でもそのタイミングがやって来れば決して抗う事など出来るはずもなく、最早なし崩し的に現実離れして情緒的で甘美で空想的になってしまう。恋に落ちること自体がしょっちゅう起こる事ではないし非現実の極み。恋をしている間は普段とまったく変わらない景色もキラキラして見えるし、普段ならウンザリしてしまう仕事上の誰かにさえ優しくできたりするから、本当に恋ったら素晴らしい。恋に落ちる度に最高にロマンティックな気分なれるし、どんなロマンスだとしても最高に心を揺さぶられるから、人は恋に現を抜かしてしまうのでしょうねぇ。今ロマンスの真っ最中のアナタも、ちょっとロマンスには食傷気味のアナタも、未来のロマンスを夢見るアナタも、そしてそんな事を書いている私も、とりあえずこの春夏のロマンティックなアイテムを身につけてみてはいかがでしょうか。身に付ければそこにはきっと、甘いだけじゃない、大人ならではの素敵に毒の効いたロマンティックな世界が待っているはず。です。ひとまず買い物やな。買い物ー！！

つづく

Photo：Gen Saito / Styling：Aika Kiyohara
Hair&Make-up：Akiko Gamou（Heads）
Text : Yuko Fukui / Edit : Maki Saito