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JUJU's Closet

ヌメロなみなさまごきげんよう。寒の戻りに翻弄されることも少なくなって、桜もあっという間に見頃を迎えようとしています。まだとても寒い頃から春になったら着よう、暖かくなったら履こう、と買い集めていた黒以外のお洋服や靴がまだかまだかとクローゼットで出番を待っているのを日々気にかけているのだけれど、往々にしてどのシーズンでも一番良いタイミングを計り過ぎて時季を逃すってことが多いので、この春だけはそれが起こらないように気をつけたいと思います。いや、ほんとに。さて、今回のJUJU's closetのテーマは「Love Myself」。自分らしく自由にファッションを楽しもうというメッセージを込めた春夏のキーワードのひとつだそう。「自分らしく自由に」と言われると、子どもの頃から私の周りには自分らしく自由な格好をしている人たちばかりがいたなぁ...ということで、今回は歴代の素晴らしき個性派たちのお話です。

この連載の中で何度もお話ししているように、私はとても興味深い大人達の中で育ちました。周りの大人の誰もが着道楽食い道楽飲み道楽だったけど、中でも一番すごかったのはH叔母。若い頃にどうしても結婚したいと思うほど深く激しい恋に落ちたのに、その人との結婚が叶わなかったから一生独身を全うした叔母。結婚はしないけれど常に恋人はいて着るものには本当に気を使っていた。呉服屋や宝石店や毛皮屋の外商がしょっちゅう叔母のところにやって来てはきらびやかなものが部屋中広げられて、「じゃああれとこれと..」とその中から色んなものを選んでいく叔母の姿を見るのは子どもながらにいつも楽しみでした。何かを買うと叔母が言う「大人になったらあげるね!」っていう言葉は強力な魔力を持っていて、それを言われる度に私と姉は1日でも早く大人になりたい!!と願ったものです。そんなゴージャスな叔母の末の妹にあたる私の母。叔母の頭文字もHだけれど、母の頭文字もH。母も着るものにはとてもうるさくて、とは言え叔母とは10歳違いで70年代が青春真っ盛りだったからかファッションのこだわりも叔母とは少し違っていて、ゴージャスって言うよりはファンキーだったうちの母。小学校の授業参観の日に颯爽と教室に入って来た母の、アフロヘアに白いベルボトムのジーンズという出で立ちに卒倒しそうになったことも。もちろんTPOに合わせてエレガントな格好も出来る人だったけれど、何よりも自分のしたい格好をすることに重きを置いていたなぁ。かくいう私も小学校の時点ではアフロに卒倒しそうになった割に、高校生の頃以降デビューしてしばらくくらいまでのかなりの期間アフロに近いアタマだったからな。血は争えないものです。テヘ。そしてさらに登場するのがニューヨークで出会って今でも大親友のHちゃん。たぶんあの頃のニューヨークにおいて、あんなに個性的な女の子は全人種の中でも彼女が一番だったと思います。モード最先端のコレクションのランウェイでしか見ないようなヘッドドレスを日常使いしていたり、孔雀の羽が天高く頭上にそびえていたり、インドのサリーをものすごくアレンジしてとても素敵に着こなしていたり、彼女のアンテナにひっかかる世界のあらゆるアイテムを彼女にしかできないやり方でミックスして楽しんでいる人だった。ニューヨークのどこへ行っても道行く誰もが彼女に賛辞を送っていたっけ。あぁ懐かしいあの日々(遠い目)。

それにしてもこう思い返してみると歴代の個性派達の頭文字はみんなH。母と大親友にいたっては同じ名前だし。ともあれ派手で破天荒なHさんたちに刺激を受けて来たにもかかわらず私にとっての私らしさは、なぜかシンプルすぎるほどシンプルな格好。シンプルもいいけれど、せっかく色々思い出したからには、もう少しHエッセンスでも加えてみるかな。春だしねー!!

つづく

Photo:Motohiko Hasui ( W ) / Styling:Aika Kiyohara
Hair&Make-up:Sayuri Yamashita ( 3rd )
Text : Yuko Fukui / Edit : Maki Saito

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