ヌメロなみなさまごきげんよう。あっという間に咲いてしまった桜もそろそろ見頃を終えそうで、美しいものや儚いものについてあれやこれや想いを馳せがちな今日この頃。 私は少々切ない気持ちになりがちですが、みなさまはいかがお過ごしでしょうか？さて今回のJUJU’S CLOSET、テーマは ‘Hide and Seek Lady’。かっちりしつつも透け感があったり、 覆っているのに見えている感じは私の大好物だったりして、なんだかワクワクした今回の撮影。濃い色の口紅をつけたりしばらく忘れていた感覚を思い起こす事にもなったんだけれど、 ともあれ?Hide and Seek とは日本語でいうところの“かくれんぼ”。こどもの頃一大イベントだったし、きっと世界中の子ども達がとある時期に必ず熱狂するかくれんぼ。シンプルなのに奥が深く、 子どもの遊びにもかかわらず人が心に抱くすべての感情が渦巻く危険な遊び、それがかくれんぼ。 大人になってからはあまり遊ぶこともなくなったけれど、‘Hide and Seek Lady’なお洋服を着させていただきながら私は大人のかくれんぼについて考えていました。

「もーいいかい？」「まーだだよ」という合図を皮切りにこの遊びが始まるのはみなさんご存知の通り。隠れる側と探す側に分かれてお互いいろんな知恵を絞りあう。 そもそも見つかることが大前提なんだけれど、見つかりそうで見つからない「どこか」を思いついて、そこに隠れて息をひそめながらも探しているであろう誰かに見つかることを今か今かと待ち構える感覚はたまらないものでした。 見つけて欲しいけど簡単に見つかるのはつまらない。でも見つからずに自分から出て行くのはもっとつまらない。やり過ぎるのも良くないし、安易すぎるのも良くない。 事を興味深く進めるために心を砕く必要性が多分にあって、「もーいいかい？」を何回聞かれたら「もういいよ」と答えていいのかとか、人によっては自分が完全に納得のいく場所に行かないとそう言わない人もいるだろうし、 とにかく多種多様な考え方の下、それぞれのかくれんぼは行われていた筈です。みんながみんなやり方も違えば考え方もタイミングも違うから、日によって楽しかったりそうでもなかったりする。 上手くいったりいかなかったりのこのゲーム、思考回路が何かに似ていて何だろうと思ったらそれは「恋」でした。気付かれたいけど気付かれるのが怖かったり、見て欲しいのにじっと見られると困る恋の始まりだったり、 言いたいことはたくさんあるのに何も言えなくなったり、むしろ何も言わなくっても本心を見つけて欲しい恋の最中だったりと、ああそうか、大人のかくれんぼは恋なんじゃないかと思いついた２０１３年の春。 溢れ出していく感情を上手に覆い隠しているつもりでも、やはりだだ漏れてしまう気持ちは素直に伝えるのが一番だと思うけれど、そのあたりのさじ加減が上手になるのはいったいいつの日か。 今年の桜を鮮やかに覚えているうちに「もーいいよ」って言えるようになりたいなぁー。っはー．．．。

つづく

Photo : Yusuke Miyazaki at Sept / Styling : Yoshiko Kishimoto
Hair & Makeup : Yoshie Sasaki at Sylph